オーケストラ、それは我なり―朝比奈隆 四つの試練価格: 1,800円 レビュー評価:4.5 レビュー数:8
朝比奈隆は、自ら、「才能に恵まれないから、1日でも長く生きて1回でも多く指揮をする」と語っていたそうだ。
彼の人生は、彼が指揮するブルックナーの人生と音楽そのもの。悠々たる歩みのなかで、時には激しく、時には悲しく、時には美しく、フィナーレに向け、圧倒的なクライマックスを築き上げていくものだった。凡庸、愚純と嘲られることがあっても、自分の歩みを決して止めなかった。
正統な音楽教育を受けていないが故のコンプレックスや、才能ある若手に対する嫉妬心、NHKとの確執、中央楽壇からの黙殺。「聖人君子」な朝比奈が振る「神聖な儀式」のような晩年のコンサートに至るまでの、朝比奈の「